和歌山県病院薬剤師会では、会員の薬学的知識の向上、会員相互の交流、最新の情報を共有することにより、質の高い 薬学 的知識を身に付け、県民の健康、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とし、それ ら を実現するため、毎年度事業計画を立て、事業を実施しています。
昨年度は、市民向けのイベントとして 「市民フォーラム」を開催 するとともに、「スキルアップ研修会」など会員向け研修会の他、本会主催の「学術大会」を コロナ禍以降久々に 現地開催することができました。また、和歌山県立医科大学薬学部の実務実習が始まり、多くの薬学部生を県内の医療機関で受け入れており、その対応にご尽力いただいている会員の皆様に感謝いたします。それぞれの受け入れ施設が魅力あるプログラムを作成し、薬学教育の充実を図り、次世代の薬剤師育成に寄与することを期待しております。
一方、病院薬剤師を取り巻く環境は、薬剤師の地域偏在や病院薬剤師不足など 、依然として 厳しい状況にあります。和歌山県でも第8次医療計画で薬剤師確保計画を策定していますが、本会においても、大学が開催する就職説明会への参加や求人情報の発信、さらには中高生に向けた病院薬剤師の魅力の伝達など、病院薬剤師の確保や地域偏在の解消に積極的に取り組んでいきたいと考えております。また、令和8年度末には、和歌山県立医科大学薬学部の1期生が卒業を迎え、 その後、県内枠卒業生に対する卒後研修が開始します。和歌山県内の複数の施設で県内枠卒後研修を実施頂くことになるかと思いますが、和歌山県立医科大学薬学部との協力体制のもと、充実した研修が実施できるよう本会としても協力していきたいと考えております。さらに、前回の診療報酬改定で新設された「病棟業務向上加算」を利用し 、県内では和歌山県立医科大学附属病院から1名の薬剤師が出向中です。県内で1人しかおらず、また様々な条件が必要にはなりますが、県内の薬剤師不足や地域偏在を少しでも解消できるよう、県の担当部署と協議を続けていきたいと思います。
医薬品の供給不足については、依然として深刻な状況が続いており、加えて、イラン情勢悪化に伴うホルムズ海峡封鎖の影響を受け、医療材料の確保も困難な状況に陥りつつあります。解決策を見出すことも難しい状況ではありますが、その対応にご尽力いただいている会員の皆様に感謝 申し上げます。
一方、薬剤師は薬の専門 職として、資質向上のため、たゆまぬ 研鑽が求められます。そのため、薬物療法をとりまく最新の知見を幅広く習得するための生涯研修の充実に努めなければなりません。これを支援する観点から、今年度も引き続き、会員が1人でも多く日本病院薬剤師会や日本医療薬学会等の学会が認定する認定・専門薬剤師の資格を取得できるよう、学術委員会や生涯研修委員会が中心となり研修会や学術大会を開催いたします。
また、令和8 年度の診療報酬改定では、病棟薬剤業務実施加算の上位評価区分として新たな病棟薬剤業務実施加算1が新設されました。これは、施設の地域性・規模・機能にかかわらず、病棟薬剤業務を より一層充実 させるという目標を明確に示したものであり、医薬品の適正使用の推進、積極的な処方提案、タスク・シェアリング/タスク・シフティングの推進など、薬物治療管理の質向上および地域を通じたシームレスな薬物治療管理の実現を目指すべきと考えます。
また、電子処方箋やAIを活用した医療DXについては、まだまだ県内でも導入実績は少ないかと思いますが、今後、これらが急速に普及する可能性があります。そのときに備え、本会の医療 DX 推進特別委員会が中心となって情報収集に努め、会員に情報共有していきたいと考えております。
そこで、令和8年度は、病院薬剤師としての使命を果たすため、本会では「病院薬剤師の充足」、「薬剤師資質の向上」、「 病棟業務の充実 」を3本の柱とし、病院薬剤師の確保や地域偏在の解消に積極的に取り組むとともに、教育・研修の充実、病棟業務のより一層の充実を図り、医薬品の適正使用の推進、積極的な処方提案、チーム医療への参画など、安全・安心な薬物治療を 提供することを目的とし、下記項目について取り組みたいと考えています。
本年度の重点的な取り組みは、次の10項目と致します。
1)病院薬剤師の確保 と地域偏在の解消
2)病棟業務の充実とチーム医療の推進
3)病院薬剤師による医療の質の向上と医療安全の確保
4)新人薬剤師や薬学部県内枠卒後研修生への教育・研修体制の確保と充実
5)薬学生実務実習の実施体制の確保と薬学教育モデルカリキュラム改訂への対応
6)日本病院薬剤師会や日本医療薬学会等の認定・専門薬剤師の育成
7)病院薬剤師の学術向上を目的とした日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師制度の研修企画の充実
8)災害発生時の和歌山県や日本病院薬剤師会との連携による医療支援体制の構築
9)和歌山県薬剤師会など各種団体との連携強化
10)医療DX推進のための情報収集と情報共有
ここに挙げた重点項目を中心に、下記に示すとおりの事業計画について、委員会を中心に推進し、会員の皆様の御協力のもと、医療を取りまく環境の変化に対応しながら病院薬剤師職能の確立を目指して本会を運営していきたいと考えております。
1.病院薬剤師の確保と地域偏在の解消
(1)新人薬剤師確保のための学生向け就職説明会への参加や求人情報の発信強化
(2)中高生に向けた病院薬剤師の魅力の伝達
(3)和歌山県立医科大学薬学部との協力による県内枠卒後研修や生涯研修の確立と充実
(4)薬剤師少数 区域 へ の薬剤師の出向の支援
(5)病院薬剤師確保や地域偏在解消に向けた和歌山県への協力要請
2.医療の質の向上への貢献
(1)薬剤管理指導及び病棟薬剤業務等の充実による医療提供体制の確保
(2)化学療法における薬学的管理の推進
(3)患者の最適な処方設計・提案の推進及び充実
3.医療安全対策の推進
(1)重篤な副作用、薬害の防止
(2)ハイリスク薬の薬学的管理の推進
(3)医薬品の安全性の確保
(4)薬剤師への医療安全に関する教育
4.地域 医療連携の推進
(1)プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)の推進
(2)入院時の持参薬の薬学的管理の充実
(3)退院時カンファレンスへの参加および転院・退院時の薬剤情報管理指導の充実
(4)保険薬局との連携による継続的な退院後のフォローアップ体制の構築
5.薬剤師養成のための薬学教育への協力
(1)薬学教育協議会病院薬局実務実習近畿地区調整機構委員会との連携の強化
(2)実務実習認定指導薬剤師の育成
(3)病院実務実習の実施体制の確保
(4)薬学教育モデルカリキュラム改訂や薬学実践実習への対応
(5)和歌山県立医科 大学薬学部との連携の強化
6.認定薬剤師、専門薬剤師の育成
(1)日本病院薬剤師会と連携した認定薬剤師、専門薬剤師の育成
(2)他学会による認定薬剤師、専門薬剤師の育成
7.学術研修活動の充実
(1)各種研修会の実施と内容の充実
(2)和歌山県薬剤師会や和歌山市薬剤師会等との合同研修会の実施
(3)各種団体が主催する学会、研修会、学術講演会等に対する参加と協力
(4)認定・専門薬剤師の単位習得のための支援
8.組織の強化
(1)薬剤業務の今後のあり方に関する検討
(2)病院薬剤師の確保対策
(3)施設間での情報共有の強化
(4)中小病院・診療所薬剤師の連携の強化
(5)療養型病院薬剤師の活動と連携の強化
(6)精神科病院薬剤師の活動と連携の強化
(7)会員と事務局の連携の強化と充実
(8)電子メディアによる会員相互のネットワークの構築
(9)感染対策に配慮した集合研修・会議の実施
9.災害への対策・対応
(1)災害発生時に対応できる支援体制の構築
(2)和歌山県や関連団体との連携を強化
10.会員への情報伝達の強化
(1)「和歌山県病院薬剤師会ホームページ」による迅速な情報伝達
(2)「日本病院薬剤師会ホームページ」による迅速な情報伝達
(3)電子メールやSNSを主とした迅速な情報伝達
11. 広報活動の充実
(1)会誌内容の充実・電子化の検討
(2)ホームページによる広報活動の推進