和歌山県病院薬剤師会では、会員の薬学的知識の向上、会員相互の交流、最新の情報を共有することにより、質の高い薬学的知識を身に付け、県民の健康、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とし、それを実現するため、毎年度事業計画を立て、事業を実施しています。
昨年度は、COVID-19 の感染の影響で休止していた「市民フォーラム」を 5年ぶりに開催しました。また、薬剤師確保WGでは、研修会の開催が少ない紀南地区において、会員相互の交流を図る目的も兼ね、「紀南地区での研修会」を開催しました。
現在、病院薬剤師を取り巻く環境は、薬剤師の地域偏在や病院薬剤師不足、医薬品の出荷調整や出荷停止、働き方改革に伴うタスクシフト・タスクシェアへの対応など、厳しい状況であります。特に医薬品の供給不足については、深刻な状況で長期化しており、その対応にご尽力いただいている会員の皆様に感謝いたします。
薬剤師は薬の専門家として、常に研鑽することが求められます。今年度も昨年度に引き続き、学術委員会や生涯研修委員会が中心となり研修会の開催や学術大会を開催いたします。また、令和7年度から和歌山県立医科大学薬学部生の病院実習が始まりました。多くの薬学部生を県内の医療機関で受け入れており、それぞれの受け入れ施設が魅力あるプログラムを作成し、薬学教育の充実を図り、次世代の薬剤師育成に寄与することを期待しております。
現在、病院薬剤師不足や地域偏在については、深刻な状況です。和歌山県は、第8次医療計画の中で、薬剤師確保計画を策定していますが、本会においても、大学が開催する就職セミナーの参加や、求人情報の発信など、病院薬剤師の確保や地域偏在の解消に取り組んでいきたいと考えております。また、令和 6 年度の診療報酬改定では、「病棟業務向上加算」が新設されましたが、本会では、令和6年度中に同加算を取得する医療機関はありませんでした。今年度も引き続き、県の担当部署に働きかけていく所存です。
電子処方箋やAIを活用した医療DXについて、情報収集し、会員で情報共有する目的で、医療DX推進特別委員会を新設したいと考えております。
令和 7 年度は、病院薬剤師としての使命を果たすため、喫緊の課題である病院薬剤師の確保、医薬品の確保に積極的に取り組んでまいります。また、従来どおり病棟薬剤業務のより一層の充実を図り、医薬品の適正使用の推進、積極的な処方提案、チーム医療への参画など、安全・安心な薬物治療を提供することを目的とし、下記項目について取り組みたいと考えています。
本年度の取り組みは、次の10項目と致します。
1)病院薬剤師の確保
2)病棟業務の充実とチーム医療の推進
3)病院薬剤師による医療の質の向上と医療安全の確保
4)新人薬剤師の研修の充実
5)新モデルカリキュラムに準じた薬学生実務実習の実施体制の確立
6)日本病院薬剤師会と日本医療薬学会等の認定・専門薬剤師の育成
7)病院薬剤師の学術向上を目的とした日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師制度の研修企画の充実
8)災害発生時の和歌山県や日本病院薬剤師会との連携による医療支援体制の構築
9)和歌山県薬剤師会など各種団体との連携強化
10)医療DX推進のための情報収集
ここに挙げた重点項目を中心に、下記に示すとおりの事業計画について、委員会を中心に推進し、会員の皆様の御協力のもと、医療を取りまく環境の変化に対応しながら病院薬剤師職能の確立を目指して本会を運営していきたいと考えております。
1.医療安全対策の推進
(1)重篤な副作用、薬害の防止
(2)ハイリスク薬の薬学的管理の推進
(3)医薬品の安全性の確保
(4)薬剤師への医療安全に関する教育
2.医療の質の向上への貢献
(1)薬剤管理指導及び病棟薬剤業務等の充実による医療提供体制の確保
(2)化学療法における薬学的管理の推進
(3)患者の最適な処方設計・提案の推進及び充実
3.医療連携の推進
(1)処方箋等を用いた検査値の情報提供の推進
(2)プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)の推進
(3)入院時の持参薬の薬学的管理の充実
(4)退院時カンファレンスへの参加
(5)保険薬局との連携による継続的な退院後のフォローアップ体制の構築
4.薬剤師養成のための薬学教育への協力
(1)薬学教育協議会病院薬局実務実習近畿地区調整機構委員会との連携の強化
(2)実務実習指導者の育成
(3)新モデルカリキュラムに準じた長期実務実習の実施体制の確立
(4)大学薬学部との連携の強化
5.認定薬剤師、専門薬剤師の育成
(1)日本病院薬剤師会と連携した認定薬剤師、専門薬剤師の育成
(2)他学会による認定薬剤師、専門薬剤師の育成
6.学術研修活動の充実
(1)各種研修会の実施と内容の充実
(2)県病院薬剤師会・県薬剤師会との合同研修会の実施
(3)各種団体が主催する学会、研修会、学術講演会等に対する参加と協力
(4)専門・認定薬剤師の単位習得のための支援
7.組織の強化
(1)病院薬剤師の確保対策
(2)施設間での情報共有の強化
(3)中小病院・診療所薬剤師の連携の強化
(4)療養型病院薬剤師の活動と連携の強化
(5)精神科病院薬剤師の活動と連携の強化
(6)会員と事務局の連携の強化と充実
(7)電子メディアによる会員相互のネットワークの構築
(8)感染対策に配慮した集合研修・会議の実施
8.災害への対策・対応
(1)災害発生時に対応できる支援体制の構築
(2)和歌山県や関連団体との連携を強化
9.会員への情報伝達の強化
(1)「和歌山県病院薬剤師会ホームページ」による迅速な情報伝達
(2)「日本病院薬剤師会ホームページ」による迅速な情報伝達
(3)電子メールを主とした迅速な情報伝達
10.広報活動の充実
(1)会誌内容の充実
(2)ホームページによる広報活動の推進