近年、COVID-19の感染の影響により、日常生活や業務は大きく変化しました。特に、会議や研修会は、WEBを活用することが主流となりました。今回、新型コロナウイルス感染症が2類から5類に引き下げられましたが、完全に感染拡大前の状態に戻ることなく、いわゆる「ニューノーマル」な時代に突入しました。また、医療業界は、デジタルトランスフォーメーション(DX)により、業務内容は、年々変わりつつあり、さらに、和歌山県は高齢化と人口減少により、医療を取り巻く環境は、大きくかわっていくことが予想されます。
病院薬剤師を取り巻く環境は、薬剤師の地域偏在や病院薬剤師不足、医薬品の出荷調整や出荷停止、働き方改革に伴うタスクシフト・タスクシェアへの対応による新しい業務の取り組みなど、非常に厳しい状況であると言わざるを得ません。
このような状況の中、令和5年度は、第45回日本病院薬剤師会近畿学術大会が和歌山で開催されるため、他の事業については、例年に比べ、縮小傾向で事業を進めざるを得ない状況です。しかし、病院薬剤師としての使命を果たすため、正確な調剤はもとより、病棟薬剤業務のより一層の充実を図り、医薬品の適正使用の推進、積極的な処方提案、チーム医療への参画など、安全・安心な薬物治療の提供に取り組んでいかなければなりません。
そこで、一般社団法人和歌山県病院薬剤師会は、県民の健康、公衆衛生の向上及び増進に寄与するため、本年度も昨年に引き続き「安全・安心な薬物治療の提供」を目標に掲げ、下記の事項について取り組みたいと考えています。
本年度の取り組みは、次の10項目と致します。
1)日本病院薬剤師会近畿学術大会の開催
2)病棟業務の充実とチーム医療の推進
3)病院薬剤師の確保
4)病院薬剤師による医療の質の向上と医療安全の確保
5)新人薬剤師の研修の充実
6)新モデルカリキュラムに準じた薬学生実務実習の実施体制の確立
7)日本病院薬剤師会と日本医療薬学会等の認定・専門薬剤師の育成
8)病院薬剤師の学術向上を目的とした日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師制度の研修企画の充実
9)災害発生時の和歌山県や日本病院薬剤師会との連携による医療支援体制の構築
10)和歌山県薬剤師会など各種団体との連携強化
ここに挙げた重点項目を中心に、下記に示すとおりの事業計画について、委員会を中心に推進し、会員の皆様の御協力のもと、医療を取りまく環境の変化に対応しながら病院薬剤師職能の確立を目指して本会を運営していきたいと考えております。
1.医療安全対策の推進
(1)重篤な副作用、薬害の防止
(2)ハイリスク薬の薬学的管理の推進
(3)医薬品の安全性の確保
(4)薬剤師への医療安全に関する教育
2.医療の質の向上への貢献
(1)薬剤管理指導及び病棟薬剤業務等の充実による医療提供体制の確保
(2)化学療法における薬学的管理の推進
(3)個々患者の最適な処方設計・提案の推進及び充実
3.医療連携の推進
(1)処方箋等を用いた検査値の情報提供の推進
(2)プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)の推進
(3)入院時の持参薬の薬学的管理の充実
(4)退院時カンファレンスへの参加
(5)保険薬局との連携による継続的な退院後のフォローアップ体制の構築
4.薬剤師養成のための薬学教育への協力
(1)薬学教育協議会病院薬局実務実習近畿地区調整機構委員会との連携の強化
(2)実務実習指導者の育成
(3)新モデルカリキュラムに準じた長期実務実習の実施体制の確立
(4)大学薬学部との連携の強化
5.認定薬剤師、専門薬剤師の育成
(1)日本病院薬剤師会と連携した認定薬剤師、専門薬剤師の育成
(2)他学会による認定薬剤師、専門薬剤師の育成
6.学術研修活動の充実
(1)各種研修会の実施と内容の充実
(2)県病院薬剤師会・県薬剤師会との合同研修会の実施
(3)各種団体が主催する学会、研修会、学術講演会等に対する参加と協力
(4)専門・認定薬剤師の単位習得のための支援
7.組織の強化
(1)病院薬剤師の確保対策
(2)施設間での情報共有の強化
(3)中小病院・診療所薬剤師の連携の強化
(4)療養型病院薬剤師の活動と連携の強化
(5)精神科病院薬剤師の活動と連携の強化
(6)会員と事務局の連携の強化と充実
(7)電子メディアによる会員相互のネットワークの構築
(8)感染対策に配慮した集合研修・会議の実施
8.災害への対策・対応
(1)災害発生時に対応できる支援体制の構築
(2)和歌山県や関連団体との連携を強化
9.会員への情報伝達の強化
(1)「和歌山県病院薬剤師会ホームページ」による迅速な情報伝達
(2)「日本病院薬剤師会ホームページ」による迅速な情報伝達
(3)電子メールを主とした迅速な情報伝達
10.広報活動の充実
(1)会誌内容の充実
(2)ホームページによる広報活動の推進